築年数の経過した我が家のリビングは、長年の生活で壁紙が黄ばみ、角の剥がれも目立つようになっていました。業者に見積もりを依頼したところ、想像以上の金額だったため、思い切って自分で壁紙を張り替えることにしました。ネットで注文した生のり付きの壁紙が届いたときは、その重みとボリュームに圧倒されましたが、実際に作業を始めてみると、そこには時間を忘れるほどの没入感がありました。まず取り組んだのは、古い壁紙の剥離作業です。裏紙が綺麗に残るように慎重に剥がしていく作業は、どこか瞑想に似た静かな時間でした。下地の石膏ボードが見えてきたところで、凹凸をパテで埋め、平らになるまでサンディングを繰り返しました。いよいよ新しい壁紙を広げ、最初の一枚を壁に掲げた瞬間、部屋の空気が一変するのを感じました。私が選んだのは、わずかに織り目のあるオフホワイトの壁紙で、それが光を反射して室内をパッと明るくしてくれたのです。天井付近のカットや、梁の複雑な形状に合わせた細工には苦労しましたが、専用の道具を使いこなしながら少しずつ形を整えていく過程は、まるで大きな工作をしているような楽しさがありました。特になでバケを使って空気の泡を消していく感覚は快感で、シワが消えて壁にピタリと吸い付く様子は見ていて飽きることがありません。一番の難関だった窓枠周りも、カッターの刃を頻繁に交換することで、驚くほど滑らかに仕上げることができました。丸二日をかけてリビングすべての壁を貼り終えたとき、体は確かに疲れ果てていましたが、それ以上に目の前に広がる清潔でモダンな空間に対する満足感が勝っていました。自分で壁紙を張る前は、失敗したらどうしようという不安もありましたが、実際に手を動かしてみれば、多少の不手際も手作りの味として愛おしく感じられるものです。家具を元の位置に戻し、新しい壁紙に包まれた部屋で淹れたてのコーヒーを飲んだとき、この家が本当の意味で自分のものになったような気がしました。自分で行う壁紙張替えは、住まいに新しい命を吹き込み、そこに住む人の心までもリフレッシュさせてくれる、最も費用対効果の高い魔法のような自己投資だと言えるでしょう。この経験は、他の場所も自分で直してみたいという新しい意欲を私に与えてくれました。
築三十年のリビングを自力で蘇らせた壁紙張替え奮闘記